ブルガリアのことわざ
ことわざ:国民の知恵
ことわざはそれぞれの国民の長年で集めた知恵とも言われています。一人一人 の価値観はそれぞれ違うところもありますが、ことわざを知れば、 その国の人々は何を大切にしているか、何がきれいと思っているか、どんな生活を送っているか だいたいわかります。ブルガリアのことわざの多くは「自分にしてほしいことを他人にやりなさい」、 キリスト教の中心となる道徳を含めています。そして、ブルガリアのことわざに相当する ことわざは日本語にもたくさんあります。ブルガリアと日本の代表的なことわざの比較をご覧ください。
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新しい日、新しい運
(Нов ден, нов късмет)
解釈:今日はうまくいかなかったとしても、明日も運が悪いとは限らない。明日のことを前もって 思い煩うことなく、希望を持って、進もう。日本では「明日は明日の風が吹く」という。 - 朝は夜よりも賢い
(Утрото е по-мъдро от вечерта)
前のことわざとよく似ている。どうしても解けない問題があっても、一休みしてから翌日もう一度 試してみると楽々に解けることがある。また、何かの判断をすぐにするのではなく、よく考えてから 決めるという意味もある。日本語に相当することわざもある:言いたい事は明日言え。思ったことを その場ですぐに言わないで、よく考えてから言えば、無難だ。 - 賢い人は一言だけで理解する
(Умният от половин дума разбира)
解釈:物事の一部を聞いただけで、その全体を理解する。日本語で言えば、「1を聞いて10を知る」となる。 - 一発の銃弾でウサギ二匹
(С един куршум два заека)
解釈:一度の苦労で2つ以上の利を得る事。日本では「一石二鳥」の表現になり、ブルガリアのとよく似ている。 - 終わりよければ全てよし
(Всичко е добре, когато свършва добре)
解釈:何かを狙って途中で苦しくなっても、最終的に目的を果たしたら、 その苦労も成功のために必要だったことが認められる。日本に全く同じ表現がある。 - 健康は一番大きい宝
(Здравето е най-голямото богатство)
解釈:元気であれば、楽しく仕事も出来るし、ご飯は素朴なものであってもおいしく食べられる。 一方、病人はお金がたくさんあっても楽しく遊べないし、食欲もない。富は物ではなく、 人の気持ちに最も関係しているので、いい気持ちの土台となる健康は一番大きい宝とされている。 日本語によく似ている表現がある:健康は富みに優る。 - 損するときに、何を得るか分からない
(Когато губиш не знаеш какво печелиш)
解釈:失敗しても、実は成功する例としては目的に向かって立ち直ったとき今まで気づいていなかった 近道の発見とか、狙っていた事よりずっと大事なことがあることに気づく事などがあげられる。いずれにしても、 失敗も貴重な経験である。そして、経験とは私たちにおいての出来事ではなく、その出来事を持って私たちは 何をするかである。日本語に相当する表現は「損して得取れ」である。 - 水滴一つずつでダムとなる
(Капка по капка вир става)
解釈:少しずつの努力が重なれば、大きな目標も達成できる。 日本語には「ちりも積もれば山となる」という。 - 神様があなたに助けるために、自ら助けなさい
(Помогни си сам, за да ти помогне и Бог)
解釈:神様に祈って、助けを求めるのも重要だが、こんな祈りだけに頼っていれば、助けはおそらく来ないであろう。 なぜなら、本当に治りたい気持ちが強ければ、自分も努力するであろうが、その気持ちはあまり強くないなら、 自分の努力にも、祈りにも力がはいらないからである。日本ではほとんど同じ表現がある: 「天は自ら助ける者を助ける」 - 早起きするものに神様も手伝ってくれる
(На ставащия рано и Бог помага)
解釈:現在は朝寝坊する人(私を含めて)は増えたが、昔の人はほとんどしなかった。 多くの人は畑で仕事をするため、日が昇らない、熱くならないうちに家を出ていた。 遅く出た人は乾燥し、固くなった土と戦う事になっていたので、仕事はなかなか進まなかったであろう。 農民ではなくても、現在の人も早く起きると良い事がたくさんある:夜ちゃんと寝たら、 頭はすっかりして、忘れ物もしないし、記憶力も高くて、物事の理解も早い。早起きの得は日本 でも認められている:「早起きは三文の得」 - 適量に食べなければ、病気になる
(Който яде без мярка, скоро ще се поболее)
解釈:いつも腹いっぱい食べると、食事はまともに消化されないから腸の細菌は分解し 有害な物質を発生するとか、余分にとった栄養は脂肪になるなど悪影響はたくさんある。 多くの病気を防ぐ簡単な方法は食べ過ぎないこと。また、最新の研究から摂する食事を 減らすことによって寿命が長くなる可能性がある事が分かってきた。日本では 「腹八分に医者いらず」と言われていて、腹いっぱい(十分)よりやや少ない (八分)程度食べる事が勧められている。 - 必要を呼びなさい
(Повикай неволята на помощ)
解釈:困ったとき人は様々な工夫をして、問題を乗り越えようとしている。そのため、 何か必要になったとき、必要だからこそ手に入るであろう。日本語にすると、「必要は発明の母」となる。 - おばあさんは多ければ、子供は貧弱
(Много баби - хилаво дете)
解釈:人が集まって何か仕事を一緒にやりたいとき、その仕事のやり方において様々な 意見が出るのは当然。しかし、皆話し合った上で一つのやり方に統一しないと、全体として 仕事はあまり進まない。一人一人違う方法に行こうとしているからである。ブルガリアのことわざでは、 おばあさんたち一人一人子育てのやり方は違うので、結局子供はあまり元気に育てない。日本ではこの 状況を「船頭多くて船山に上る」で表している。 - よく泳げる人こそおぼれやすい
(По-добрите плувци често се давят)
解釈:自信のある人こそ十分注意しない傾向がある。どんなに上手であってもいつも十分な注意を払った方がいい。 - 囲いなしの庭—囲い有りの砂漠
(Разградена градина - заградена пустиня)
解釈:せっかく作っている野菜や花等は誰にも簡単に取れるならすぐになくなってしまうであろう。 そのため、庭の周りにちゃんと囲いも作るべき。 - 全ての卵を一つのかごに入れてはいけない
(Не слагай всички яйца в една кошница)
解釈:貴重なものを全て一カ所に集めてしまうと、何かの事件で全部を失ってしまう恐れがある。 だから、宝物をいくつかに分けて、別々な所に保存した方が良い。 - 怠け者は二倍に働き、ケチな人は二倍に支払う
(Мързеливият два пъти работи, скъперникът два пъти плаща)
解釈:やるべき事をちゃんと時間通りにしないと、後で同じ結果を得るために二倍の努力が必要となることがある。 また、買うべき物は値段が高いと思ってほっとおくと、その後大きく損する事もある。例えば、屋根の修復が 必要にも関わらず、その仕事は大変とか、修復に必要なお金がもったいないと思って怠ると、屋根どころか、 家全体は崩壊してしまうかもしれない。 - 彼は彼の怠惰ほど強い痛みを抱いていれば、だいぶ前死んだはず
(Ако го боли, както го мързи, отдавна да е умрял)
解釈:痛みには、平気で我慢できるものもあり、うめき声をあげたくなる物もあり、その強さは 様々な形で表現できる。しかし、怠惰の程度はどう表せば良いか。ここで怠惰を痛みに例えて、 その強さを表現し、強い怠惰を死に等しくする。これは、何もしたくない人が夢も持っていないし、 おそらく友達も少ないし、彼は本当に死んでも回りは何も変わらないからであろう。 - もらいたいなら、あげる事に慣れ
(Ако искаш да вземаш, научи се да даваш)
解釈:プレゼントをもらったときの喜びは誰でも何度も経験したい事であろう。皆お互い様なので、 あげるともらえるであろう。その上、プレゼントをあげて、相手を喜ばせる喜びもある。 - 優しい言葉は鉄の戸も開ける
(Блага дума железни врата отваря)
解釈:親切に頼むと、本来入場できないところにも入れてもらう事が多い。例えば、 普通の人は入ってはいけない世界遺産の多くは世界で初めてNHKによって撮影されたのは 日本人の親切さのおかげであろう。また、心を閉じた人に優しい言葉を捧げると、当時まで だれも近づく事が出来なかったそのひとのたましいに触れることができるかもしれない。 - 急いで済ませた仕事は達人の恥
(Бързата работа — срам за майстора)
解釈:ちゃんと計画を立てずに急いで何かを作ると、ミスや誤りが生じる可能性が高くなる。 このような予防できる誤りは達人だけではなくて、だれにもあまりふさわしくない。 - これは耳にイヤリングになるように!
(Да ти е обеца на ухото!)
解釈:つらい経験をいつまでも忘れないように耳に穴をあけて、イヤリングをつける人がいる。 そこまでしなくても、何かの誤りでひどい事になったとき、二度と同じ間違いを起こさないように その事情をよく覚えておくといい。 - 悪い事を経験しない限り、良い事はわからない
(Докато не изпиташ злото, не ще познаеш доброто)
解釈:困難に直面して、普段の無事な生活はどんなに恵まれていたか、初めて分かる事が多い。 - 舌には骨がないが骨を折る
(Езикът кости няма, ама кости троши)
解釈:ちょっとしたうそや悪口、うわさ、いじめなどで相手を大きく傷付ける事がけっこある。 「言葉だけだ、たいした問題じゃない」と思わず、言葉の力を知って、相手の気持ちを配慮すべき。 - ひどい傷口は治り、ひどい言葉は忘れられず
(Лоша рана заздравява, но лоша дума не се забравя)
解釈:いじめなどによって生じた精神的な傷は体の傷口と違って、目では見えないが、治る時間が長くて、 傷口よりももっと痛い事が多い。勝手に人の体を傷付けないように、相手の精神も傷付けないように 相手への思いやりが必要。 - 働かない人は休みの良さがしらない
(Без труд почивката не е сладка)
解釈:休みとは、よく働いた後、「よく頑張ったなぁ」と実感し、力を取り戻して、 又夢に向けて仕事に戻るための時間。休みの良さの主な要因であるこの達成感と夢に向かう 決意は怠けた人には実感できない。 - 夜の仕事は明日の仕事にしてはいけない
(Вечерната работа не оставяй за сутринта)
解釈:今やれることは後でやっても良いと思って、後回しにすると、仕事はどんどんたまって、 とんでもないことになるかもしれない。 - 大きいスプーンが欲しいなら、大きいくわを持ってこい!
(Искаш ли голяма лъжица, вземи и голяма мотика!)
解釈:たくさん食べたいなら、たくさん働かなければならない。次のことわざとよく似ている。 - 働かない人は食べてはいけない
(Който не работи, не трябва да яде)
解釈:人は誰でも食事をとらないと生けられない。しかし、仕事しなくても、他人に頼って、生活できる。 こんな思いを抱えている怠け者に、仕事も食事のように当たり前なことだと、このことわざは教える。 - 人の友達を知れば、その人の性格もわかる
(Кажи ми какви са приятелите ти, за да ти кажа какъв си)
解釈:性格がよく似ている人同士は友達になりやすいので、人の性格はそのひとの友達の性格から判断できる。 - 中良いグループは山も持ち上げられる
(Сговорна дружина планина повдига)
解釈:一人一人の力は限られていても、皆同じ目標に向かって、力を会わせるとどんな問題でも乗り越える事が出来る。
(昔話) トッ プ (バラの谷)